年末で思い出したこと・・1

年末になると、一年を振り返ったりする・・

今年はコロナ禍のせいか長く感ぜられた一年だった。

思いは、昔の思い出までさかのぼる・・2004年、初めてタイに行った。

知り合いのルポライターに連れられて行った、初めてのバンコク。

見知らぬ文化に接して、何もかもがおもしろかった。普通の観光旅行では行けない所にあちこちと行くことができた。

街角のおもしろさに写真もいっぱい撮った・・天秤棒をかついで果物を売り歩く人、路上にミシンを出して洋服の修理をする女性、販売にでも向かうのか、タワシを大量に背負って電車に乗る老人。

ルポライターの取材に同行して、バンコクから離れた田舎の小さな漁村に行った。

途中で知り合った若い女性が案内役になってくれて、女性の自宅まで訪問することになった。小さな運河沿いにある水上生活者の小屋のような家だった。板張りの6畳くらいの部屋の片隅にミシンが置いてあった。日本の古いタイプの蛇の目ミシンだった・・これで洋服の修理などをして、バンコクに持って出て売るということだった。

自宅にあげてもらって、もてなしなのか・・アルミ製のお茶碗のような容器になみなみと水を入れて「飲んでくれ」と両手を合わせて差し出された。とても怖くて少しだけ口をつけて、覚えたての「コプンカー」と言って返してしまった。

ちょうどその時は、タイは鳥インフルエンザが蔓延していたのだ。しかし、田舎ではそれほど気にする様子もなく、家の前の運河で、とてもきれいとは言えない水でお皿とかを洗っていた。その女性の母親が、グァバ（ファラン＝硬い梨のような果物）をナタのような包丁で手の上で上手にカットして、さっき運河で洗っていたお皿に盛ってもてなしてくれた。こわごわとひとかけらだけ食べた。硬い梨のようで、淡い甘さの果物だったが、これに塩と唐辛子の粉と砂糖を混ぜたものをつけて食べると意外なおいしさで、悪くない味わいだった。

バンコクには、運河を船で、それからバスと電車に乗り換えて3時間ほどかけて帰った。窓を開けたディーゼル電車を沿線のバナナの葉とかヤシの葉がバサバサと叩いてくる。うっかり顔など出したら大変なことになる・・そんな電車でバンコクに帰り着いた。