年末で思い出したこと・・2

・・バンコクに戻った。その日の夜は、ルポライターを囲む飲み会になった。飲み会の会場には三輪タクシー（トゥクトゥク）に乗って向かった。ビニールの屋根が付いているだけのカラフルなタクシーだが、初めての旅行者にとっては何でもおもしろいし楽しいのだ。

午後6時頃だったが、亜熱帯特有の蒸し暑さは独特な感じだ。ザワザワとした街を屋根だけの三輪タクシーが、ガスの臭いと騒音をたてて走っていく・・あぁ、タイだ！バンコクに来ているんだ！　亜熱帯のむっとした風が気持ちよく顔や体を叩いていく。

飲み会には日本人がたくさん集まった。現地のコーディネーター、タイ在住の編集者や記者、情報誌の関係者、日本語学校の先生もいた。

その中に、マカオ系か香港系のタイ人だろうと思われるノーブルな顔立ちをした若い男性がいた。彼の横には色白で品のよい感じの日本人女性が寄り添っていた。聞けば、二人はニューヨークの大学で同級生だったそうで、彼は経済学を学び、彼女は都市計画を学んでいたそうだ・・タイに帰国後、彼は財務省に入省したという。そして、二人は一週間後にオリエンタルホテルで結婚式をあげるという。おおぉ〜オリエンタルで！さらに彼曰く「プミポン国王に招待状をお送りしたのですが、ご高齢ということで皇太子（現・国王）が出席してくれることになったんです。」とさらりと言った。これだけで、おおぉ〜すごい財務官僚！という感じなのだが・・さらに、「よかったら、パーティに出席してください。」と言ってきた。ええっ！「明後日、日本に帰りますので」と丁重にお断りをしたが、それにしても一見の旅行者にっ！どんだけオープンなんだよぅと思った。

・・昼間は庶民の生活を垣間見て、夜は上層の人に出会ったのだった！

次の日には、JICAの日本人職員とホテルでお茶をした。

話は、今のタイ経済の状況になり・・問わず語りに、鳥インフルエンザの話、前の年に香港で流行ったSARSの話になった。

その人は、SARSの原因を少しぼやかしながら、経済の状況と併せて話してくれた。とても深い話だった！あぁ〜、なるほどと思った。　

今年の1月、中国の武漢でコロナが発生したことが報道された時・・あっ、あれか・・やっぱりあれか！と思った。

そして、誰もが経験したことのない一年がたとうとしている。

世界は、深いところで、我々が気がつかないところで・・ゆっくりと、しかし劇的に動いているんだろうと思う。